2008年3月28日金曜日

判決要旨(詳細)沖縄タイムス

「集団自決」訴訟判決(要旨)沖縄タイムス2008年3月29日(土) 朝刊

 「沖縄ノート」の各記述は著書である被告大江健三郎(以下、大江)が沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」の問題を本土の日本人の問題としてとらえ返そうとしたものである。

 各記述には、慶良間諸島の「集団自決」の原因について、日本人の軍隊の部隊の行動を妨げずに食糧を部隊に提供するために自決せよとの命令が発せられるとの記載や渡嘉敷島で住民に「集団自決」を強要させたと記憶される男である守備隊長との趣旨の記述などがあり、渡嘉敷島における「集団自決」を命じたのが、当時の守備隊長であることが前提となっている。

 また「この血なまぐさい座間味村、渡嘉敷島のむごたらしい現場」との記載があり、大江自身、本人尋問で「沖縄ノート」が原告梅澤裕(以下、梅澤)をも対象にしたことを自認している。

 渡嘉敷島、座間味島で「集団自決」が行われた際に、故赤松嘉次(以下、赤松)が渡嘉敷島の、梅澤が座間味島の守備隊長もしくは軍隊の長であることを示す書籍は多数存在するなど、「沖縄ノート」の各記述内容が赤松、梅澤に関する記述であると特定し得ることは否定できない。

 以上、特定性ないし同定可能性の有無について被告らの主張は、理由がないというべきである。

 家永三郎(以下、家永)著の「太平洋戦争」の記述には「座間味島の梅澤隊長は、老人・こどもは村の忠魂碑前で自決せよと命令した」などとの記述があり、梅澤が部隊の食糧を確保するために、本来、保護してしかるべきである老幼者に対して無慈悲に自決することを命じた冷酷な人物であるとの印象を与え、梅澤の社会的評価を低下させる記述であることは明らかである。

 「沖縄ノート」の記述では、座間味島、渡嘉敷島を含む慶良間諸島での「集団自決」が日本軍の命令によるものであるとし、「集団自決」の責任者の存在を示唆している。ほかの記述と併せて読めば、座間味島および渡嘉敷島の守備隊長である梅澤、赤松が「集団自決」の責任者であることをうかがわせる。したがって、「沖縄ノート」の記述は「集団自決」という平時ではあり得ない残虐な行為を命じたものとして、梅澤および赤松の社会的評価を低下させるものと認められる。

 名誉棄損が違法性がないと判断されるために、「太平洋戦争」、「沖縄ノート」の執筆、出版を含む表現行為の主な動機が公益を図る目的であるかを見る。

 「太平洋戦争」は、歴史研究書であり、その記述は公共の利害に関するものであること、公益を図る目的を併せ持ってなされたものであることには当事者間の争いがない。

 家永は多数の歴史的資料、文献等を調査した上で執筆したことが認められる。「太平洋戦争」の記述の主な目的は戦争体験者として、また、日本史の研究者として太平洋戦争を評価、研究することにあったと認められ、それが公益を図るものであることは明らかだ。

 「沖縄ノート」は、大江が沖縄が本土のために犠牲にされ続けてきたことを指摘。日本人とは何かを見つめ、戦後民主主義を問い直したものであること、各記述は、沖縄戦における「集団自決」の問題を本土日本人の問題としてとらえ返そうとしたものであることが認められる。

 これらの事実および、梅澤、赤松が公務員に相当する地位にあったことを考えると、「沖縄ノート」の記述の主な目的は、日本人の在り方を考え、読者にも反省を促すことにあったものと認められ、公益を図るものであることは明らかだ。

 以上によれば、「太平洋戦争」、「沖縄ノート」の各記述に関する表現行為の目的がもっぱら公益を図る目的であると認められる。


太平洋戦争時の沖縄の状況


 1944年6月ごろから、三二軍が沖縄に駐屯を開始した。三二軍司令官の牛島満は、沖縄着任の際、沖縄における全軍に対し、「防諜ニ厳ニ注意スヘシ」と訓示を発した。

 このように沖縄において防諜対策は、日本軍の基本的かつ重要な方針だった。三二軍司令部の基本方針を受け、各部隊では民間人に対する防諜対策が講じられた。

 軍人軍属を問わず標準語以外の使用を禁じ、沖縄語を使用する者をスパイとみなし処分する旨の命令や、島しょにおける作戦では原住民がスパイ行為をするから気を許してはならない旨の訓令などが出された。

 また、三二軍は同11月18日、県民を含めた総力戦体制への移行を急速に推進し、「軍官民共生共死の一体化」を具現するとの方針を発表した。

 慶良間諸島には同9月、陸軍海上挺進戦隊が配備され、座間味島に梅澤が隊長を務める第一戦隊、阿嘉島・慶留間島に野田隊長(以下、野田)の第二戦隊、渡嘉敷島に赤松が隊長を務める第三戦隊が駐留した。

 45年3月の米軍侵攻当時、慶良間諸島に駐屯していた守備隊はこれらの戦隊のみであった。「集団自決」発生当時、米軍の空襲や艦砲射撃のため、沖縄本島など周囲の島との連絡が遮断されており、食糧や武器の補給が困難な状況にあった。

 海上挺進戦隊は、もともと特攻部隊としての役割を与えられていたことから、米軍に発見されないよう、特攻船艇の管理は厳重で、そのほかの武器一般の管理も同様であった。

 渡嘉敷島は44年10月10日の空襲以降、それまで徴用され陣地構築作業をしていた男子77人があらためて召集され、兵隊とともに国民学校に宿営することになった。

 座間味島は45年3月23日から25日まで空襲を受けた。住民は壕に避難するなどしていたが、同25日夜、伝令役が住民に忠魂碑前に集合するよう伝えて回った。その後、同26日、多数の住民が手榴弾を使用するなどして集団で死亡した。

 同27日午前、米軍が渡嘉敷島に上陸した。赤松は、米軍の上陸前、巡査に「住民は西山陣地北方の盆地に集合するよう」指示し、巡査は防衛隊員とともに住民に集合を促した。住民は同28日、防衛隊員らから配布された手榴弾を用いるなどして、集団で死亡した。

 慶留間島では、45年2月8日、野田が住民に対し「敵の上陸は必至。敵上陸の暁には全員玉砕あるのみ」と訓示し、同3月26日、米軍上陸の際、「集団自決」が発生した。

 以上の「集団自決」が発生した場所すべてに日本軍が駐屯しており、日本軍が駐屯しなかった渡嘉敷村の前島では、「集団自決」は発生しなかった。


日本軍による住民加害


 元大本営参謀で厚生省引揚援護局の厚生事務官馬淵新治(以下、馬淵)の調査によれば、日本軍の住民に対する加害行為は各地で行われていた。

 例えば、馬淵は「将兵の一部が勝手に住民の壕に立ち入り、必要もないのに『軍の作戦遂行上の至上命令である。立ち退かないものは非国民、通敵者として厳罰に処する』等の言辞を敢えてして、住民を威嚇強制のうえ壕からの立ち退きを命じて己の身の安全を図ったもの」。

 「ただでさえ貧弱極まりない住民個人の非常用食糧を『徴発』と称して略奪するもの、住民の壕に一身の保身から無断進入した兵士の一団が無心に泣き叫ぶ赤児に対して『此のまま放置すれば米軍に発見される』とその母親を強制して殺害させたもの」などがあったとしている。

 また「敵上陸以後、いわゆる『スパイ』嫌疑で処刑された住民は十指に余る事例を聞いている」としている。

 日本軍は、渡嘉敷島において防衛隊員であった国民学校の大城徳安訓導が身寄りのない身重の婦人や子どもの安否を気遣い、数回部隊を離れたため、敵と通謀する恐れがあるとして、これを処刑した。

 また、赤松は「集団自決」でけがをして米軍に保護され治療を受けた2人の少年が米軍の庇護のもとから戻ったところ、米軍に通じたとして殺害した。さらに米軍の捕虜となり、米軍の指示で投降勧告にきた伊江島の住民6人に、自決を勧告し、処刑したこともあった。

 そのほか、沖縄では、スパイ容疑で軍に殺された者など、多数の軍による住民加害があった。


援護法の適用


 梅澤命令説および赤松命令説は、沖縄で援護法の適用が意識される以前から存在していたことが認められる。援護法適用のために捏造されたものであるとの主張には疑問が生ずる。

 また、隊長命令がなくても戦闘参加者に該当すると認定された自決の例もあったことが認められ、梅澤命令説および赤松命令説を捏造する必要があったのか直ちには肯定し難い。

 宮村幸延が作成したとされる「証言」と題する親書の記載内容は、「昭和二十年三月二十六日の集団自決は梅澤部隊長の命令ではなく、当時兵事主任兼助役の宮里盛秀の命令で行われた」との部分も含めて拝信しがたい。これに関連する原告梅澤の陳述書も拝信し難い。

 「母の遺したもの」の記載を子細に検討すれば、「集団自決」に援護法を適用するために原告梅澤の自決命令が不可欠であったことや、「村の長老」から虚偽の供述を強要されたことなど援護法適用のために自決命令の捏造を直ちにうかがわせるものではない。

 沖縄において、住民が「集団自決」について援護法が適用されるよう強く求めていたことは認められるものの、そのために梅澤命令説および赤松命令説が捏造されたとまで認めることはできない。


梅澤命令説


 「集団自決」の体験者の供述から、原告梅澤による自決命令の伝達経路等は判然とせず、梅澤の言辞を直接聞いた体験者を全証拠から認められない。取材源が明示されていない「鉄の暴風」「秘録 沖縄戦史」「沖縄戦史」等から、直ちに「太平洋戦争」にあるような「老人・こどもは村の忠魂碑の前で自決せよ」との梅澤の命令それ自体までは認定することには躊躇を禁じ得ない。

 しかしながら、梅澤が座間味島における「集団自決」に関与したものと推認できることに加え、少なくとも2005年度の教科書検定までは、高校の教科書に日本軍によって「集団自決」に追い込まれた住民がいたと記載されていた。布村審議官は、座間味島および渡嘉敷島の「集団自決」について、日本軍の隊長が住民に自決命令を出したとするのが通説であったと発言していた。

 学説の状況、諸文献の存在、その信用性に関する認定、判断、家永および大江の取材状況等を踏まえると、梅澤が座間味島の住人に対し「太平洋戦争」の内容の自決命令を発したことを直ちに真実と断定できないとしても、合理的資料もしくは根拠があると評価できる。

 各書籍の発行時において、家永や被告らが事実を真実であると信じるについての相当の理由があるものと認めるのが相当である。


渡嘉敷島の「集団自決」


 体験者らの体験談は、いずれも自身の実体験に基づく話として具体性、迫真性、信用性を有することができる。

 渡嘉敷島における「集団自決」は、1945年3月27日に渡嘉敷島に上陸した翌日の28日に赤松大尉に西山陣地北方の盆地への集合命令の後に発生している。赤松大尉率いる第三戦隊の渡嘉敷島の住民らに対する加害行為を考えると、赤松大尉が上陸した米軍に渡嘉敷島の住民が捕虜となり、日本軍の情報が漏えいすることを恐れて自決命令を発したことがあり得ることは、容易に想像できる。

 赤松大尉は防衛隊員であった国民学校の大城徳安訓導が、身重の夫人や子供の安否を気遣い、数回部隊を離れたため、敵と通謀する恐れがあるとして処刑している。

 米軍の上陸後、手榴弾を持った防衛隊員が西山陣地北方の盆地へ集合している住民のもとへ赴いた行動を赤松大尉が容認したとすれば、自決命令を発したことが一因ではないかと考えざるを得ない。

 第三戦隊に属していた皆本義博証人が手榴弾の交付について「恐らく戦隊長の了解なしに勝手にやるようなばかな兵隊はいなかったと思います」と証言していることは、先に判示している通り。手榴弾が「集団自決」に使用されている以上、赤松大尉が「集団自決」に関与していることは、強く推認される。

 沖縄県で「集団自決」が発生したすべての場所に日本軍が駐屯し、駐屯しなかった渡嘉敷村の前島では、「集団自決」は発生しなかったことを考えると、「集団自決」は日本軍が深くかかわったものと認めるのが相当である。

 沖縄では、第三二軍が駐屯し、その司令部を最高機関として各部隊が配置され、渡嘉敷島では赤松大尉を頂点とする上意下達の組織であったと認められる。渡嘉敷島における「集団自決」に赤松大尉が関与したことは十分に推認できる。

 渡嘉敷島の「集団自決」の体験者の体験談等から赤松大尉による自決命令の伝達経路は判然とせず、命令を直接聞いた体験者を全証拠から認められない。取材源などは明示されていない。「鉄の暴風」「秘録 沖縄戦史」「沖縄戦史」等から「沖縄ノート」にある記述のような赤松大尉の命令の内容それ自体まで認定することには躊躇を禁じ得ない。

 しかしながら、合理的資料もしくは根拠があると評価できるから、「沖縄ノート」の発行時に、被告らが事実を真実と信じるについて相当の理由があったと認めるのが相当である。

 被告らによる梅澤および赤松大尉に対する名誉棄損は成立せず、したがって、その余の点について判断するまでもなく、これを前提とする損害賠償、出版の差し止めに理由はない。


文献の評価


 「鉄の暴風」には、初版における梅澤の不審死の記載、渡嘉敷島への米軍の上陸日時に関し、誤記が認められるものの、戦時下の住民の動き、非戦闘員の動きに重点を置いた戦記として、資料価値を有するものと認める。

 「母の遺したもの」には木崎軍曹が住民に「途中で万一のことがあった場合は、日本女性として立派な死に方をしなさいよ」と手榴弾一個が渡されたとのエピソードも記載され、日本軍関係者が米軍の捕虜になるような場合には自決を促していたことを示す記載としての意味を有する。梅澤命令説を肯定する間接事実となり得る。

 「ある神話の背景」に、赤松大尉による自決命令があったという住民の供述は得られなかったとしながら、取材をした住民がどのような供述をしたかについては詳細に記述していない。家永教科書検定第三次訴訟第一審の証言で、「ある神話の背景」の執筆に当たっては、富山兵事主任に取材をしなかったと証言しているが、それが事実であれば、取材対象に偏りがなかったか疑問が生じる。

 「ある神話の背景」は、命令の伝達経路が明らかになっていないなど、赤松命令説を否定する見解の有力な根拠となり得るものの、客観的な根拠を示して覆すものとも、渡嘉敷島の「集団自決」に関して軍の関与を否定するものともいえない。

 米軍の「慶良間列島作戦報告書」で、原告が主張するように訳したとしても、日本軍の兵士たちが慶留間の島民に対して米軍が上陸した際には自決するよう促していたことに変わりはなく、その訳の差異が本訴請求の当否を左右するものとは理解されない。

 赤松大尉は、大城徳安や米軍の庇護から戻った2少年、伊江島の住民男女6人を正規の手続きを踏むこなく、処刑したことに関与した。住民への加害行為を行っているのであって、こうした人物を立派な人だった、悪く言う者はいないなどと評価することが正当であるかには疑問がある。

 知念朝睦証人は、陳述書に「私は、正式には小隊長という立場でしたが、事実上の副官として常に赤松隊長の傍にいた」と記載しているが、西山陣地への集結指示については、聞いていない、知らない旨証言。「住民が西山陣地近くに集まっていたことも知りませんでした」と記載している。

 いずれにしても赤松大尉の自決命令を「聞いていない」「知らない」という知念証人の証言から自決命令の存在を否定することは困難である。


皆本証言


 赤松大尉のそばに常にいたわけではないことが認められ、赤松大尉の言動を把握できる立場になかった。赤松大尉の言動についての証言の評価に当たっては、この点を重視する必要がある。

 皆本義博証人の証言は、手榴弾を交付した目的を明示する陳述書の内容と食い違い、手榴弾に関する陳述書の記載およびその証言には疑問を禁じ得ない。


梅澤証言


 梅澤は本人尋問で、手榴弾を防衛隊員に配ったことも、手榴弾を住民に渡すことも許可していなかったと供述する。

 一方で木崎軍曹が手榴弾を交付したことについて、木崎軍曹が住民の身の上を心配して行ったのではないかと供述する。

 慶良間諸島は沖縄本島などと連絡が遮断されていたから、食糧や武器の補給が困難な状況にあったと認められ、装備品の殺傷能力を検討すると手榴弾は極めて貴重な武器であったと認められる。

 軍の装備が不十分で、補給路が断たれていたことについては、梅澤自身も、村民に渡せる武器、弾薬はなかったと供述している。

 そうした状況で、戦隊長である梅澤の了解なしに木崎軍曹が(住民の)身の上を心配して手榴弾を交付したというのは、不自然である。

 貧しい装備の戦隊長である梅澤が、そうした部下である兵士の行動を知らなかったというのは極めて不自然であるというべきである。

 梅澤作成の陳述書と本人尋問の結果は、信用性に疑問がある。


赤松手記


 赤松手記は、自己への批判を踏まえ、自己弁護の傾向が強く、手記、取材ごとにニュアンスに差異が認められるなど不合理な面を否定できない。全面的に信用することは困難である。


体験者証言


 本件訴訟を契機に、宮平春子、上洲幸子、宮里育江の体験談が新聞報道されたり、本訴に陳述書として提出されたりしている。沖縄戦の体験者らの体験談は、いずれも自身の実体験に基づく話として具体性、迫真性を有するものといえる。

 また多数の体験者らの供述が、1945年3月25日の夜に忠魂碑前に集合して玉砕することになったという点で合致しているから、その信用性を相互に補完し合うものといえる。

 こうした体験談の多くに共通するものとして、日本軍の兵士から米軍に捕まりそうになった場合には自決を促され、そのための手段として手榴弾を渡されたことを認めることができる。

全面勝訴 3・28大阪地裁判決内容

全面勝訴 大阪地裁判決内容

3月28日午前10時に大阪地裁(深見敏正裁判長)で判決が言い渡されました。
これまでの多くのご支援・ご協力ありがとうございます。

原告は控訴を予定しています。今後もよろしくお願い申し上げます。

主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

判決骨子
1 「沖縄ノート」では原告梅澤及び赤松大尉の氏名を明示していないが、引用された文献、新聞報道等でその同定は可能である。

2 本件各書籍は、公共の利害に関する事実にかかり、もっぱら公益を図る目的で出版されたものと認められる。

3 梅澤命令説及び赤松命令説は、集団自決について援護法の適用を受けるためのねつ造であるとは認められない。

4 座間味島及び渡嘉敷島ではいずれも集団自決に手榴弾が利用されたこと、沖縄に配備された第32軍が防諜に意を用いていたこと、第1、第3戦隊の装備からして手榴弾は極めて重要な武器であったこと、沖縄での集団自決はいずれも日本軍が駐屯していた島で発生し、日本軍の関与が窺われことなどから原告梅澤及び赤松大尉が集団自決に関与したものと推認できる上、2005年度までの教科書検定の対応、集団自決に関する学説の状況、判示した諸文献の存在とそれらに対する信用性についての認定及び判断、家永三郎及び被告大江の取材状況等を踏まえると、原告梅澤及び赤松大尉が本件各書籍記載の内容のとおりの自決命令を発したことを直ちに真実であると断定できないとしても、その事実については合理的資料若しくは根拠があると評価でき、家永三郎及び被告らが本件各記述が真実であると信じるについて相当の理由があった。

5 「沖縄ノート」の各記述は、被告大江が赤松大尉に対する個人攻撃をしたなど意見ないし論評の域を逸脱したものとは認められない

判決要旨
1 「沖縄ノート」は座間味島と渡嘉敷島の元守備隊長を原告梅澤及び赤松大尉だと明示していないが、引用された文献、新聞報道などで同定は可能であり、本件各書籍の各記載は、原告梅澤及び赤松大尉が残忍な集団自決を命じた者だとしているから原告梅澤及び赤松大尉の社会的評価を低下させる。

2 「太平洋戦争」は、太平洋戦争を評価、研究する歴史研究書で、「沖縄ノート」は日本人とは何かを見つめ、戦後民主主義を問い直した書籍であって、原告梅澤及び赤松大尉に関する本件各記述を掲載した本件各書籍は、公共の利害に関する事実に係り、もっぱら公益を図る目的で出版されたと認められる。

3 原告らは、梅澤命令説及び赤松命令説は集団自決について援護法の適用を受けるためのねつ造だと主張するが、複数の誤記があるものの、戦時下の住民の動き、非戦闘員の動きに重点を置く戦記として資料価値を有する「鉄の暴風」、米軍の「慶良間列島作戦報告書」が援護法の適用が意識される以前から存在し、ねつ造の主張には疑問があり、原告らの主張に沿う照屋昇雄の発言は、その経歴等に照らし、また宮村幸延の「証言」と題する書面も、同人が戦時中在村していなかったことや作成経緯に照らして採用できず、「母の遺したもの」によってもねつ造を認めることはできない。

4 座間味島及び渡嘉敷島ではいずれも集団自決に手榴弾が使われたが、多くの体験者が、日本軍の兵士から米軍に捕まりそうになった際の自決用に交付されたと語っていること、沖縄に配備された第32軍が防諜に意を用いており、渡嘉敷島では防衛隊員が身重の妻等の安否を気遣い数回部隊を離れたために敵に通牒するおそれがあるとして処刑されたほか、米軍に庇護された2少年、投降勧告に来た伊江島の男女6名が同様に処刑されたこと、米軍の「慶良間列島作戦報告書」の記載にも日本軍が、住民が捕虜になり、日本軍の情報が漏れることを懸念したことを窺わせること、第1、第3戦隊の装備から手榴弾は極めて貴重な武器であり、慶良間列島が沖縄本島などと連絡が遮断され、食糧や武器の補給が困難だったこと、沖縄で集団自決が発生したすべての場所に日本軍が駐屯しており、日本軍が駐屯していなかった前島では集団自決が発生しなかったことなどの事実を踏まえると、集団自決については日本軍が深くかかわったと認められ、島で原告梅澤及び赤松大尉を頂点とする上意下達の組織であったことからすると、それぞれの島における集団自決に原告梅澤及び赤松大尉が関与したことは十分に推認できるけれども、自決命令の伝達経路などが判然としないため、本件各書籍に記載された通りの自決命令それ自体まで認定することには躊躇を禁じ得ない。

 原告梅澤及び赤松大尉が集団自決に関与したものと推認できることに加え、2005年度までの教科書検定の対応、集団自決に関する学説の状況、判示した諸文献の存在とそれらに対する信用性についての認定及び判断、家永三郎及び被告大江の取材状況等を踏まえると、原告梅澤及び赤松大尉が本件各書籍記載の内容の自決命令を発したことを直ちに真実であると断定できないとしても、その事実については合理的資料もしくは根拠があると評価できるから、本件各書籍発行時に、家永三郎及び被告らが本件各記述が真実であるとと信じるについて相当の理由があったものと認めるのが相当であり、それは本訴口頭弁論終結時においても径庭(けいてい)はない。 したがって被告らによる原告梅澤及び赤松大尉への名誉棄損は成立せず、それを前提とする損害賠償はもとより本件各書籍の出版等の差し止め請求も理由がない。

5 「沖縄ノート」は赤松大尉へのかなり強い表現が用いられているが、「沖縄ノート」の主題等に照らして、被告大江が赤松大尉に対する個人攻撃をしたなど意見ないし論評の域を逸脱したとは認められない。


「集団自決」軍が関与 元隊長らの請求棄却 - 琉球新報 -
認められなかった隊長陳述 岩波・大江裁判、証言反映の「勝訴」 - 琉球新報 -
決意「教科書正す」/勝利判決 国に重し - 沖縄タイムス -
沖縄タイムス社説 2008.3.29

【沖縄集団自決訴訟・大江氏側会見詳報】(1)「軍命令を明確に認定」 - MSN産経ニュース
【沖縄集団自決訴訟・大江氏側会見詳報】(2)「裁判背景に大きな政治的動き」 - MSN産経ニュース

【沖縄集団自決訴訟・大江氏側会見詳報】(3)「中傷のために書いたのではない」 - MSN産経ニュース

2008年3月15日土曜日

3・28「大江・岩波裁判」判決報告集会@大阪

チラシ→pdf(392k)
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沖縄戦の真実を判決に
「大江・岩波裁判」判決報告集会

日時:2008年3月28日(金) 14:00~
場所:エルおおさか6階大会議室
   アクセス http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html
 弁護団報告、安仁屋政昭沖縄国際大名誉教授の講演など
資料代:1000円
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第1回口頭弁論から約2年。大江・岩波沖縄戦裁判は昨年12月21日、ついに結審しました。判決は3月28日(金)午前10時から大阪地裁で言い渡されます。判決を受け、同日午後2時から報告集会を開きます。
弁護団に判決内容を評価・分析をしてもらうとともに、この裁判で陳述書も提出した沖縄国際大学名誉教授で沖縄戦研究者の安仁屋政昭さんに判決の感想を含め、この裁判を総括していただきます。ぜひご参加下さい。

日時:2008年3月28日(金) 14:00~
場所:エルおおさか6階大会議室
アクセス http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html

●京阪・地下鉄谷町線「天満橋駅」より西へ300m
●京阪・地下鉄堺筋線「北浜駅」より東へ500m
●地下鉄御堂筋線「淀屋橋駅」より東へ1200m
●JR東西線「大阪天満宮駅」より南へ850m

資料代:1000円

講演 判決を聞いて
   安仁屋政昭さん(沖縄戦研究者 沖縄国際大学名誉教授)
報告 弁護団から

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主催
 大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会 
 沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会 
 大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
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2008年2月16日土曜日

3・18連続講座第5回 検証・教科書検定制度の問題点

チラシ→pdf(108k)
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連続講座第5回 検証・教科書検定制度の問題点
そもそも「教科書検定」ってどんな制度?
日時:2008年3月18日(火)開始:18時半 終了予定:21時
場所:文京シビックセンター4階シルバーホール
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沖縄戦「集団自決」について「軍の命令」の記述を削除した「検定意見」。
「検定意見はあくまで正しい」という立場に固執する文部科学省。検定意見撤回を目指すたたかいのなかで、見えてきた教科書検定制度の欠陥・問題点とは…?

〔講師〕
「何故こんな検定が?検定制度の何が問題か」
 俵 義文さん
  子どもと教科書全国ネット21 事務局長
  沖縄戦首都圏の会呼び掛け人

「編集者から見る教科書検定の実際」
 現職・高校教科書編集者

2008年3月18日(火)
開始:18時半 終了予定:21時
会場:文京シビックセンター4階シルバーホール
参加費:500円
◆予約は不要です。当日会場に直接お越しください。
地下鉄都営三田線/大江戸線春日駅から徒歩1分(地下から直結)
丸の内線/南北線後楽園駅から徒歩1分 
JR総武線水道橋駅から徒歩10分水道橋駅


主 催
大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
(略称:沖縄戦首都圏の会)
連絡先:千代田区神田神保町3-2 千代田区労協気付
http://okinawasen.blogspot.com/

2008年2月14日木曜日

2・27映画「GAMA-月桃の花」上映会のご案内

チラシ→pdf(200k)
2・27 沖縄県民映画「GAMA-月桃の花」上映会のご案内


日時:2月27日(水)開場-18:30 開演-19:00 
※上映に先立ち海勢頭豊(うみせど ゆたか)さんの舞台挨拶あり
場所:文京シビックホール小ホール 
   (東京メトロ後楽園駅徒歩3分 都営地下鉄春日駅連絡通路)
料金:予約-1200円 当日-1500円  高校生以下-800円


沖縄戦終結50周年記念作品として製作された「GAMA-月桃の花」は、資金難で何度も撮影中断の憂き目にあいながら1996年4月に完成、今年で13年目を迎えました。
この間、沖縄を取り巻く状況も大きく変化してきましたが、沖縄戦の実相を余すところなく描かれている「GAMA-月桃の花」は自主上映・沖縄修学旅行の事前学習としてコンスタントに上映が続けられてきました。

昨年2月にはベルリン国際映画祭に参加、全国200万人以上の方々に鑑賞いただいた奇跡の映画、今回はニュープリントでの上映です、是非この機会にご鑑賞下さい。

☆脚本は大城将保(嶋津与志)さんです

  •  製作  海勢頭豊

  •  企画  橘祐典

  •  監督  大澤豊

  •  脚本  嶋津与志

  •  原案  嶋津与志

  •  音楽  海勢頭豊

  •  出演  朝霧舞 沖田浩之 川平慈英 島袋匠造 玉木初枝 新里奈津子


詳細はhttp://www.gettounohana.com

主催:GAMA-月桃の花を成功させる会
共催:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
   沖縄平和ネットワーク首都圏の会
   
 お問い合わせ・ご予約は
 電話 03-3560-2250 E-mail:ggs@gettounohana.com

2008年1月13日日曜日

1・22 教科書検定意見撤回を求める集会

チラシ→pdf(125k)

転送歓迎 !
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■ 1・22 教科書検定意見撤回を求める集会    
  ~「日本軍の強制」を文科省はなぜ認めない!~      
日時:1月22日(火) 開場18時 開会18時半 終了予定21時
場所:文京区民センター3階 3A会議室
主催:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
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○日時 1月22日(火) 開場18時 開会18時半 終了予定21時

○場所 文京区民センター3階 3A会議室
 地下鉄 都営三田線・大江戸線春日駅から徒歩0分
     丸の内線・南北線後楽園駅から徒歩3分
 JR総武線水道橋駅から徒歩10分

○資料代:500円 ◆予約は不要です。当日会場に直接お越しください。
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○発言
教科書検定問題の経過報告
  石山久男(歴史教育者協議会委員長)

教科書執筆者として
  坂本昇(都立高校教員)

今回の訂正申請の問題点
  林博史(関東学院大学教授)

学校現場から
  平井美津子(大阪・中学校教員)

「大江・岩波沖縄戦裁判」結審報告
  小牧薫(大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会事務局長)

「日本軍の強制」を認めない背景
  俵義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)
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○内容
昨年12月26日、文部科学省は、沖縄戦記述に関する日本史教科書6社8点の訂正申請について、審議経過とその結果を発表しました。

その内容は、日本軍が「集団自決」を強制したという趣旨の記述はすべて削除され、文科省、検定審議会は、あくまでも検定意見は撤回しない態度を貫いています。

これに対して沖縄では早速怒りの声があがり、28日に沖縄県民大会実行委員会が決定した政府・文科省への要請書のなかでも「『集団自決』の記述の中に『旧日本軍による強制』の語句を入れるとともに、検定意見を撤回されるよう、強く要請する」としています。「沖縄戦首都圏の会」も12月27日に文科省に改めて「検定意見撤回」を要請しました。

この集会では、検定審議会へ意見書を提出した林博史さんに、軍の強制を認めなかった訂正申請結果や意見書で主張されたことをお話しいただき、教科書執筆者、教育現場からの発言。3月に判決を控えている「大江・岩波沖縄戦裁判」の報告も行います。

ひきつづき「教科書検定意見撤回」を求める重要な集会です。ぜひ御参加下さい。
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連絡先:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
http://okinawasen.blogspot.com/
東京都千代田区神田神保町3-2 千代田区労協気付
E-MAIL okinawasen@gmail.com
TEL 03-3264-2905 FAX 03-3264-2906
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2007年12月26日水曜日

緊急!12・27沖縄戦 教科書検定意見撤回を求める院内集会

転送歓迎 !

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■緊急!沖縄戦 教科書検定意見撤回を求める12・27院内集会!

日時:12月27日(木) 13時30分
場所:衆議院第1議員会館第1会議室
13時15分衆議院第1議員会館ロビーで通行証配布
主催:
 大江・岩波沖縄戦裁判を支援し、沖縄の真実を広める首都圏の会
 大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会(大阪)
 沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会(沖縄)
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文部科学省ならびに教科用図書検定調査審議会は、本日12月26日、各教科書出版社から提出されていた沖縄戦記述に関する訂正申請について、審議結果を発表しました。

しかしそれは、検定意見の撤回をかたくなに拒否し、そのことを前提として訂正申請の内容に不当な修正を強要して、ふたたび歴史の真実を歪曲するものです。

これに対し私たちは強い怒りをこめて抗議し、検定意見の撤回と記述の回復を要求します。

明日27日(木)緊急に文科省要請と院内集会、記者会見を開催いたします。
是非多くのみなさまの参加を要請します。
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☆緊急!沖縄戦 教科書検定意見撤回を求める12・27院内集会☆
○日時 2007年12月27日(木) 13時30分から

○場所 衆議院第1議員会館第1会議室
参加者には13時15分、衆議院第1議員会館ロビーで通行証を配布します。

○内容
主催各団体、教科書執筆者から
抗議声明の発表と文科省要請の報告
東京、沖縄、大阪からの発言、
この間の訂正申請をめぐる経過、今後のとりくみなど

集会終了後、記者会見(15時頃予定)
場所 衆議院第1議員会館第1会議室

□主催
大江・岩波沖縄戦裁判を支援し、沖縄の真実を広める首都圏の会
大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会(大阪)
沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会(沖縄)
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連絡先:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
http://okinawasen.blogspot.com/
東京都千代田区神田神保町3-2 千代田区労協気付
E-MAIL okinawasen@gmail.com
TEL 03-3264-2905 FAX 03-3264-2906
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