2007年6月6日水曜日

呼びかけ文

 2005年8月5日、大阪地方裁判所に「沖縄戦」の記述を巡って岩波書店と大江健三郎氏を相手取り、裁判が起こされました。原告は沖縄戦当時に座間味島戦隊長であった梅澤裕氏と渡嘉敷島戦隊長故赤松嘉次氏の弟赤松秀一氏であり、被告は株式会社岩波書店と『沖縄ノート』の著者である大江健三郎氏です。

 訴えの内容は岩波書店刊行の家永三郎著『太平洋戦争』、中野好夫・新崎盛暉著『沖縄問題二十年』(岩波新書)、大江健三郎著『沖縄ノート』(岩波新書)を問題にし、3点の書籍が、1945年の沖縄戦初期に慶良間列島で発生した住民の「集団自決」は、守備隊長であった原告・梅澤氏及び原告・赤松氏の兄が命じたと記述しているが、これは事実に反し、名誉を毀損、あるいは故人に対する敬愛追慕の情を侵害する、というものです(2006年9月、『沖縄問題二十年』については訴えを取り下げ)。
 原告らは提訴と同時に「梅澤・赤松両氏の名誉を回復するだけでなく、日本の名誉を守り、子供たちを自虐的歴史認識から解放して、事実に基づく健全な国民の常識を取り戻す国民運動にしなければならない」と「沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会」を結成し、裁判を利用した運動を展開しています。
 まさにこの裁判は、軍命令による「集団自決」はなかったとすることによって、日本軍による住民虐殺の事実を抹殺し、沖縄戦の事実を歪め、日本軍の残虐性を「捏造されたウソ」にし、「軍隊は住民を守らない」という認識の転換をねらうものです。

 さらに、2007年3月30日に公表された高等学校日本史教科書の検定結果によれば、文部科学省は、この裁判での原告の主張を理由に沖縄戦における強制集団死・「集団自決」について「日本軍による自決命令や強制があった」とする5社、7冊に対し「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現」として修正を指示し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させたことが判明しました。
 このような動きに対し、歴史の歪曲を許さず、沖縄戦の真実を広く子どもをはじめ市民に知らせていくために、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」を結成します。ぜひ多くの方が入会くださるようお願い申し上げます。

大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会